『入れ歯』と『インプラント』

偶然の勝者と必然の敗者

オッセオインテグレーションとファイブロインテグレーション

一つだけ先に申しますが、このブレード方式は日本の不幸なインプラントの歴史と非常に深く関係しています。そもそも定着率の低いこの治療法を一部の不心得な歯科医が見よう見まねで行い失敗に失敗を重ねたのです。それが1970〜1980年代の出来事です。結局定着させることが出来ず摘出するのですが、摘出時のトラブルも多く、日本でデンタルインプラントというイメージが未だにいかがわしいものになってしまったのはそのためです。

ただ、真犯人は方式ではなく不埒な一部の人間だということを肝に命じて下さい。

さて、歯根膜の話に戻ります。ブレード方式の結合理論はこうです。

まずブレードを異物と認識した生体はそれを被包化といって繊維組織でくるみ込みます。ただくるみ込んでもチタンを溶かすことも排除することもできませんから、くるみ込んだまま、そこに存在することになります。結果的にブレードの周りには繊維組織が層をつくりそれを介して歯槽骨と結合するというのです。この繊維組織が歯根膜の替わりを演じてくれるのではないかと期待されていたのです。この結合現象をファイブロインテグレーションと呼びます。

対していま用いられているデンタルインプラントは、繊維組織を介しません。歯槽骨にダイレクトにチタンの歯根を埋め込みます。その状態で数ヶ月放置すると骨とチタンはどういうわけか強固に結びつくのです。顕微鏡で確認しても境目が確認できないレベルで完全に結合し永続的に離れません。この結合現象はオッセオインテグレーションと呼ばれます。

偶然の勝者と必然の敗者